
「肘を痛めないように、投球フォームを直したい」 「肩を柔らかくすれば、けがを防げるのでは?」 野球をしているお子さんや保護者の方から、このような疑問を持たれることがあります。 投球動作や身体の動きに目を向けるとともに、肘そのものにどのような…
「肩を柔らかくすれば、けがを防げるのでは?」
野球をしているお子さんや保護者の方から、このような疑問を持たれることがあります。
投球動作や身体の動きに目を向けるとともに、肘そのものにどのような変化があるかを確認することも大切です。今回は、高校野球選手を対象にした2025年の研究を紹介します。
高校野球選手128人を6か月間追跡
研究では、高校野球部の新入部員128人に、肘の超音波検査、身体機能の検査、投球動作の分析を行いました。その後6か月間の経過を調べたところ、23人、約18%に肘の障害が発生しました。
解析では、肘の内側にある骨の出っ張り「内側上顆」の表面の不整や肥大、肩を外側へひねる動き「外旋」の可動域の大きさが、その後の肘の障害と関連していました。研究の抄録
内側上顆は、肘の内側で触れられる骨の部分です。ここに見られる形の変化が、今後の肘の状態を考える手がかりになる可能性があります。
「肩が柔らかいほど安心」とは限らない
肩の外旋とは、投球でボールを持った腕を後ろへ引くときに使う、肩を外側へひねる動きです。
今回、肩の外旋可動域の大きさと肘の障害との関連が見られましたが、「肩が柔らかいこと自体が悪い」「肩を硬くすれば予防できる」という意味ではありません。
この研究は、身体の特徴と、その後の障害との関連を調べたものです。ストレッチを減らしたり、特定のフォームへ変えたりすることで、けがを防げるかどうかまでは検証していません。
フォームだけで原因を決めつけないこと
今回の研究から考えたいのは、肘の状態を一つの特徴だけで判断しないという視点です。
投球時に痛みや違和感があると、「フォームが悪いから」「身体が硬いから」と考えがちです。しかし、肘そのものの状態も含めて確認する必要があります。
また、骨の形に変化があるだけで、必ず障害が起こるわけではありません。検査の結果は、症状や競技の状況などと合わせて判断することが大切です。
相談するときに伝えてほしいこと
肘の状態を相談する際には、次のような情報を整理しておくと役立ちます。
いつから痛みや違和感があるか
投げ始め、投球中、投げ終わった後の、いつ痛むか
最近、練習量や登板機会が増えていないか
過去に肘を痛めたことや、検査を受けたことがあるか
痛みを我慢して投げ続けず、症状が続く場合は整形外科で相談しましょう。画像検査の必要性や診断、投球を続けてよいかについては、医師による判断が必要です。
PONOVA接骨院へのご相談時にも、症状の経過や練習状況、医師からの指示がある場合は、その内容をお聞かせください。
フォームや柔軟性に加えて、肘の状態にも目を向けること。それが、これからの競技生活を考えるうえで大切な視点になります。
参考文献
Nishi R, et al. Anatomic, Functional, and Mechanical Risk Factors for Elbow Injury in the Throwing Athlete: A Prospective Cohort Study of 128 High School Baseball Players. American Journal of Sports Medicine. 2025年3月30日オンライン公開。
論文情報・抄録
※本記事は公開抄録をもとにした解説です。研究は高校野球選手を対象としており、小学生や中学生に同じ結果が当てはまるとは限りません。
