コラム一覧へ

スポーツ外傷2026.10.17

急性ハムストリング肉離れを起こしたアスリートにおける、リハビリ介入が競技復帰までの期間と再受傷率に及ぼす影響

急性ハムストリング肉離れを起こしたアスリートにおける、リハビリ介入が競技復帰までの期間と再受傷率に及ぼす影響

急性ハムストリング肉離れを起こしたアスリートにおける、リハビリ介入が競技復帰までの期間と再受傷率に及ぼす影響 急性ハムストリング肉離れは、アスリートに多く発生し、再受傷も多い障害です。しかし、早期の競技復帰と持続的な再受傷予防を両立する最適…

急性ハムストリング肉離れを起こしたアスリートにおける、リハビリ介入が競技復帰までの期間と再受傷率に及ぼす影響

急性ハムストリング肉離れは、アスリートに多く発生し、再受傷も多い障害です。しかし、早期の競技復帰と持続的な再受傷予防を両立する最適なリハビリ方法は、依然として明確ではありません。

本研究では、PubMed、Cochrane Library、Web of Science、Scopus、Embase、Google Scholarを用い、各データベースの収録開始から2026年1月までの文献を検索しました。対象は、アスリートの急性ハムストリング肉離れに対する運動療法、生物学的な補助療法、その他の介入を評価した、英語の無作為化比較試験です。

主要評価項目は競技復帰までの期間、副次評価項目は再受傷率でした。根拠の確実性はGRADEを用いて評価しました。統計モデルは、研究間のばらつきと、結果を統合することの臨床的な妥当性に基づいて選択しました。

解析には、計693人のアスリートを含む14件の無作為化比較試験を採用しました。

筋肉を長くした位置での運動を重視する「Lプロトコル」は、2試験に基づく結果から、通常のリハビリに比べて競技復帰までの期間を短縮する可能性がありました。この結果の確実性は中程度でした。再受傷リスクを増やさないことについての確実性は低いと評価されました。

段階的なアジリティ運動と体幹安定化運動を組み合わせる「PATS」は、競技復帰までの期間を短縮しませんでした。ただし、この結果の確実性は低いものでした。再受傷に関する推定値も結論には至らず、リスク差は−0.35、95%信頼区間は−0.74〜0.03でした。研究間のばらつきは大きく、確実性は非常に低いと評価されました。信頼区間には、再受傷を減らす可能性と、効果がない可能性の両方が含まれていました。

補助療法については、多血小板血漿療法(PRP)を3試験による独立したメタ解析で評価しました。放射状体外衝撃波療法と低出力レーザー療法は、それぞれ単独の試験に基づいて検討しました。

PRPの効果には研究間でばらつきがありました。放射状体外衝撃波療法には小幅な利益が見られましたが、1試験のみの結果です。低出力レーザー療法には追加的な利益が認められませんでしたが、これも1試験のみの結果です。

痛みの許容閾値を用いたリハビリは、競技復帰を遅らせることなく筋力を改善しました。この結果は1試験に基づき、確実性は中程度でした。

逐次解析では、Lプロトコルによる競技復帰期間の短縮効果が統計的な監視境界を超え、偶然による誤差を除外するのに十分な根拠があることが示唆されました。ただし、これは研究間の臨床的な違いや、他の患者集団にも結果が当てはまるかという問題を解消するものではありません。

筋肉を長くした位置で行う遠心性運動は、競技復帰までの期間を短縮する可能性があります。一方、PATSや補助療法についての根拠は依然として不確かであり、質の高い無作為化比較試験が必要です。臨床判断では、統計的な有意差だけでなく、根拠の確実性を優先すべきです。

  • この論文の要点

ハムストリングの肉離れでは、早い競技復帰と再受傷の予防を両立する「最適なリハビリ方法」は、まだ確立されていません。ただし、どの方法が役立つか、何も分かっていないわけではありません。
今回のレビューでは、筋肉を長くした位置で、伸ばされながら力を発揮する「遠心性運動」を重視したプログラムが、通常のリハビリより競技復帰を早める可能性を示しました。この結果の根拠の確実性は「中程度」と評価されています。
一方、再受傷を防ぐ効果については、まだ十分な根拠がありません。「早く復帰できること」と「再びけがをしにくくなること」は、分けて考える必要があります。
なお、この運動は単に太ももの裏を強くストレッチすることではありません。研究結果は、すべての人に同じ運動や負荷を勧めるものではなく、状態に応じたリハビリを検討するための参考になります。
出典:急性ハムストリング肉離れのリハビリに関するレビュー(Scientific Reports、2026年)


研究登録:PROSPERO CRD420261387775

出典:Zhu J, Huang S, Luo S, et al. Effects of rehabilitation interventions on time to return to play and reinjury rate in athletes with acute hamstring strain injuries. Scientific Reports. 2026;16:30859. 2026年10月5日公開。
原文を読む

※CC BY 4.0で公開された原文抄録の日本語訳です。著者・出版社による公式訳ではありません。略語には理解を助ける説明を補っています。

RESERVATION

ご予約・お問い合わせ

ご来院前のご相談も、LINEからお気軽にどうぞ。